2012年10月11日木曜日

287)言葉を話す―対人関係―社会参入への第一歩

シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
精神分析という対話療法で心身の悩み相談をしています。
           
今日は、「言葉を話す―対人関係―社会参入への第一歩」 について書きたいと思います。

前回「人間は、象徴的な世界に生きる存在」だと書きました。
今回は、象徴的な世界への参入について考えたいと思います。
言葉を話すことは社会へ参入するための第一歩であり、
そのためには、
すでに社会参入している大人によって語りかけられることが大切だと言いたいと思います。


まず、私たちは自分について語っているであろう言語世界の中に生れ落ちます。
これは、
まだ言語をまったく理解できない時代から、言語によって語られているということです。
そして、その言語によって話しかけられ、覚えさせられます。
例えば
固有名詞を与えられ、その名前で呼びかけられます。
このように、まずは受身の状態から始まります。

それに対し、私たちはまず、笑顔や声で応えたことでしょう。
この時代は、泣いたり、手を伸ばしたら、すぐにそれが目の前に与えられます。
やがて、同じことをしたのに
≪「ちょうだい」って言おうね≫と言われ、同じように言葉の真似をするように要求されます。
公園で誰かのおもちゃを手にしたら
≪「〇〇ちゃん、貸してねって言おうね」≫と言われます。

このように、自分の欲求を言葉に置き換えて言うことを求められます。(受動から能動への転換

当たり前にように思いますが、
ここで、誰からも語りかけられなかったとしたらどうなるでしょう。
言葉を覚えることができるでしょうか。
たぶん、難しいことでしょう。
つまり
言葉を覚えるには、まず誰かから語りかけられることが必須です。
その動作に応じた、適切な言語で語りかけられること。
そして、それを真似て使ってみる。
このような日々の繰り返しの中て、言語の世界(象徴的な世界)へと参入してゆく。
つまり、言葉を覚え、話すことが対人関係をスムーズにし、
社会参入するための重要な第一歩だと言えるでしょう。

この観点から考えると、
社会参入において、何らかの抵抗や葛藤がある場合
自分の内側にあるもの(感情、想い、思考など)を
適切な言語に置き換えることがスムーズにできない可能性が考えられるのではないでしょうか。

以上から、
言葉を話すようになるためには
まず、言葉を話す大人から語りかけられ続けることが必須です。
重ねて言うと、
ただ一人の人から一貫性を持って語られ続ける体験(環境)が望まれます。
ただ一人の人が、常に子どもの傍に居て、臨機応変に適切な言語で語りかける環境
これが象徴的な世界に生きることを余儀なくされている人間にとって、
非常に大切で必須な最初期の環境といえると思うのです。

このような環境の中で、私たちは人間として、
言語という象徴的な世界の中の住人として生きているのです。
私たち大人は、子どもたちにこの象徴の世界へと導く使命とでもいうべき役目があるのではないでしょうか?
何だか、難しくなってきました。
要するに、
私たち大人が、まず子どもたちに語りかけることが必須である、と言いたかったのです。


*症例
「言葉が他の子に比べて遅い」と心配されていたお母さんに、
 子どもさんと一緒に遊び、子どもさんと目を合わすようにして語りかけ続けてください、
 と、アドバイスしたところ、見る見るうちに言葉を話すようになった。


対人関係、社会参入をスムーズにするための教室
そのために基礎である「オールOK子育て法」http://signifiant-lab.com/raise/
など、ご希望に応じた相談をしています。
シニフィアン研究所までご連絡ください。http://signifiant-lab.com/

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