2013年5月29日水曜日

340)対話と伝達

シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
精神分析という対話療法で自己(無意識)を知り、必要に応じて書き換えていきます。
そうすれば、不安は安心に変わり、生きる希望が湧いてくることでしょう。

今日は、「対話と伝達」について書きます。月刊精神分析5月号が届きましたので、その紹介と共に、≪対話と伝達≫をテーマに考えてみたいと思います。
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「探偵ナイトスクープ」
2013年4月5日放送、探偵は竹山隆範。奈良県在住の18歳の少年からの依頼。依頼者は、物心付いた頃から両親の会話を聞いたことがなく、母親が話しかけても父親が無視してしまうのだと言う。子供に対しては普通に話しかけてくれるのに、なぜ母親とは口をきこうとしないのか、理由を解明してほしいという内容。依頼者の姉からも話を聞いた所、実に23年間会話をしていないことが判明。(月刊精神分析ー特集探偵ナイトスクープより引用 http://agency-inc.com/knight-scoop/
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上記の月刊精神分析の記事を参照しながら、
家族間での≪対話と伝達≫をテーマに考えてみましょう。

辞書では、「対話」とは、向かい合って話し合うこと。
「伝達」とは、命令・意思・情報などを口頭または書類で相手に伝えること。とあります。

これら二つの違いをみてみます。
一番の違いは『相手の現前を必要とするか、しないか』ではないでしょうか。
もちろん対話は必須(あるいは前提)で、伝達は必ずしも必須ではありません。
対話を中心に考えてみましょう。
1.お互いに向かい合うこと。
2.そのためには、傍(同じ空間)に居ることが前提。
3.時間的に、精神的に、『ゆとり』が必須。
これらのことが揃って初めて≪対話≫をする環境が整ったといえるのではないでしょうか。
自分の家族間はどうだろうか?と問いかけてみてください。
どのような光景が浮かんできますか。
家族間で会話はあるよという方は、
それは『対話』と『伝達』との観点からいうとどちらでしょうか。
「対話(伝達)に近い」
「伝達(対話)の方が多い」
「どちらもない」etc
この観点から特に注目したいのが、女性も社会参入しやすい環境を推進するために、
「0歳児保育」や「待機児童ゼロ」を目指して社会が動きを活発化していることです。
横浜市がわずか数年で、それを達成したとのニュースが先日発表されました。
(日本経済新聞参照http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2000Z_Q3A520C1CC0000/

社会状況から考えると、様々な考えや意見があることでしょう。
ただ、『対話』という観点からみた場合、
これらの状況下で、
どれだけ向かい合う時間が持てているでしょうか。
どれだけ傍に居る時間があるでしょう。
どれだけゆとりを持てるでしょうか。
なぜ『対話』を中心に考えているのかというと、
対話は家族間の絆を深め、強くすると考えるからです。
このことについては、後の機会に譲りたいと思いますが、
ただ言えることは、特に子どもの問題は家族の問題に通じているということです。
また子どもに限らず、多くの方の悩みや問題を聴いていると、家族の姿が浮かんできます。
そして、家族間の繋がり(絆)の希薄さや無さ、
その一因としての『対話のなさ』を痛感しているからです。

今回は「月刊精神分析」の記事に関連して≪対話と伝達≫について書いてみました。
家族間の会話はありますか?
それは対話ですか、伝達ですか?
この機会に少し考えてみませんか?
シニフィアン研究所のHPも参照ください。
勉強会、教室、講座もしています。http://signifiant-lab.com/
6月4日~6日まで、関西へ出張します。
詳しくはスケジュールを参照ください。http://signifiant-lab.com/#161

2013年5月19日日曜日

339)「好き」を育てよう

シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
精神分析という対話療法で自己(無意識)を知り、必要に応じて書き換えていきます。
そうすれば、不安は安心に変わり、生きる希望が湧いてくることでしょう。
今日は、「好きを育てよう」について書きたいと思います。
ここでは、
≪好きなことがある≫ということがどれほど大切であるかを考えたいと思います。

ほとんどの人は少なくとも一度は
「自分は一体何をしたいのか?」との問いかけをしたことがあることでしょう。
これが、いわゆる≪アイデンティティー(自己同一性)への問いかけ≫です。
「自分とは何か?」
「何のために生きているのか?(生きる意味は何か?」
これらの問いかけは、主に進学や職業選択をする時(思春期)に発生します。

それらが明確に決まっている場合は、問題なく進んでゆくでしょう。
ところが、明確でない場合、立ち止まってしまう可能性が出てきます。
そして、その問いかけに何らかの答えが見いだせなかったとき
<アイデンティティー拡散>などと言われる事態が起こります。
ちょうど、身体的変化も伴って、イライラが募り、
様々な問題行動や心身の不調が起こりやすい時期であり、
統合失調症など精神病が発症する可能性が一番高い時期だともされます。
『疾風怒濤の時期』ともいわれます。
逆にいえば、
だれもが一度は通り抜けなければならない時期だともいえます。
この時期をうまく乗り越えてゆくために、
「好きなこと(もの)がある」ことが大きな助けになるであろうと思います。

例えば、テレビや雑誌などで、インタビューされた人が
「どうしてここまで続けてこられたのですか?」
「どうしてそこまでやるんですか?」
などの質問に対し、
「やっぱり〇〇が好きなんですよね」と答えている場面によく出くわします。

このように、好きなことに対しては
どのような艱難辛苦が待ち受けていようとも、決して引き下がらない。
立ち止まることはあっても、常に前進し続けることでしょう。
その根底で支えるものは、ただ「好き」これだけです。
まして、周りの評価や損得や将来性など関係ありません。
ただただ夢中で寝食忘れて没頭することでしょう。
その集中力には凄いものがあります。

では、その基礎には何があるのでしょうか。
ひとことでいえば、環境ではないでしょうか。
ここでいう環境とは、集中して没頭できる環境を指します。
どういうことかというと、
誰にも邪魔されず、中断されないということです。
その始まりは、幼少期だといいたいのです。
子どもはあらゆる物事に興味を示します。
それを大人の視点からの判断で邪魔しないことです。

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あるお母さんが、
「子どもがゲームに夢中になって勉強をしなくて困る。
ひどいときは、一日10時間もしている。
何度注意してもききません。これでは、先がおもいやられる。どうしたらいいのでしょうか?」
と相談に来られました。
お母さんの言うことに共感できる大人は多いかもしれません。
ですが、その時、そのお母さんに言いました。
「素晴らしい、それほどまでの集中力、意志力がある子どもさんなんですね」と。

今は、その好きな(興味がある)対象が「ゲーム」かもしれません。
それが他の好きな(興味がある)対象に移行した時のことを考えたらどうでしょうか。
その集中力、最後までやり通す意志力は、凄いものがあるのではないでしょうか。

私たち大人は、ややもすると目先の対象(こと、もの)に捕らわれすぎていないでしょうか?
対象に目を向けることも大切な一つですが、
一つのことに集中している「集中力」
最後までやり抜こうとする「意志力」に目を向けることも大切だと思うのです。

一時期没頭していても、それが本当に興味の対象でないならば、
いつか必ず止める時が来るでしょう。
それを自らが身を持って体験することが、自分で判断し、決定する能力を育てることにも繋がると思います。
そのためには、「好き」を見守り、育てる環境が大切ではないでしょうか。
その代表的な養育方法が≪オールOK子育て法≫なのです。

オールOK子育て法についてはこちらを参照ください。
「精神分析的子育て法、オールOK」http://signifiant-lab.com/raise/
オールOK子育て教室、養成講座もあります。
シニフィアン研究所HPhttp://signifiant-lab.com/ 

2013年5月5日日曜日

338)寄り添う心

シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
精神分析という対話療法で自己(無意識)を知り、必要に応じて書き換えていきます。
そうすれば、不安は安心に変わり、生きる希望が湧いてくることでしょう。
今日は、「寄り添う心」について書きたいと思います。

以前にも同じようなタイトルで書きましたが[175)寄り添うとは?を参照ください]

問い合わせの頻度が高いので、改めてテーマとして取り上げます。
ここでは、精神的に寄り添うことを中心に考えてみたいと思います。

誰かが傍に居ても、話をしていても、聞いてくれていても、
必ずしも寄り添ってくれていると感じられない場合があります。
一所懸命に話を聞こうとしているにも関わらず、
「寄り添ってくれない」と言う。
寄り添っているつもりなのに、寄り添ってくれないと言う。
どうして寄り添いたいとう気持ちが伝わらないのだろうと歯がゆく思う。
そんな体験はありませんか。

そんな時は、お互いが同じ気持ちでしょう。
≪どうして解ってくれないの!≫
このように叫んでいることでしょう。

街中で、ふと耳にした母と娘の会話を紹介しましょう。

娘「これ可愛いねえ」
母「じゃあ買ってあげるわ」
娘「そんなこと言ってないよ、ただ可愛いって言っただけよ」
母「可愛いと言うから、買ってあげようと思って言ってるのに、何よその言い方は。」
娘「ママはいつもそう。私は物が欲しいんじゃないわ。」
母「何が不満なの?買ってあげるって言ってるのに」
・・・・・・・この後の展開は想像してください。

どうしてこのような展開になったのでしょうか。
娘は何を言おうとしているのでしょう?
母は娘の何を理解できないのでしょうか?
娘の視点から考えてみましょう。

・≪言うことを聞いて≫
「可愛いねえ」と言ったのです。
買ってほしいとは言ったのではありません。

・≪共感して欲しい≫
「可愛いねえ」と言ったら、「ほんと、可愛いわね」と答える。
これを共感するといいます。
母が共感したなら、娘は「ママも自分と同じ想いなんだ」と思えたことでしょう。

・≪共有したい=一体感を味わいたい≫
母が共感することで、想いと時間を共有していると感じられる。
これは、母との一体感を味わうことと等価です。
他者との一体感を味わうことは、融合体験に繋がります。
融合体験は、至福の時や満足感、幸福感をもたらすことでしょう。

このように考えていくと、この娘さんの要求していることが見えてきます。
母との一体感を味わいたい、
母と満足、幸せな気持ちを共有したい。
物が欲しいのではない。
欲しいのは寄り添ってくれる母の(喜びの共感、共有)であると見えてきたのです。

母の視点から考えてみると、また違ったものが見えてくるでしょう。
双方からの視点で見ていくと、それぞれの想い(心)が読み取れます。
このような視点からの勉強会もしています。
共に学び、考えてみませんか?

シニフィアン研究所のHPも参照ください。http://signifiant-lab.com/
埼玉、和歌山でも順次講座を開催しています。http://signifiant-lab.com/#13

2013年5月1日水曜日

337)5月度関西出張予定とフリートークテーマ決定のお知らせ

シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
精神分析という対話療法で自己(無意識)を知り、必要に応じて書き換えていきます。
そうすれば、不安は安心に変わり、生きる希望が湧いてくることでしょう。
今日は、「5月度関西出張予定とフリートークテーマ決定のお知らせ」です。

風薫る五月となりましたね。
ゴールデンウィークのど真ん中、天候にも恵まれてスタートです。
さて、今月も関西方面に出張いたします。
近隣の方は是非ご連絡、ご参加ください。
お待ちしています。
  
☆5月度関西出張予定とフリートークテーマ決定のお知らせ
●5月7日(火)~9日(木)和歌山市&大阪市
≪インテグレーター養成講座≫
子育てはもちろん、日々の生活や仕事にも役立つ講座です。
分かりやすく、実践に活かす方法も解説しています。
途中の単元からも参加できますので、お気軽にお問い合わせください。
7日(火)14:30~17:30「病理Ⅰ」
8日(水)10:00~12:00「無意識論Ⅱ」 16:00~17:00「無意識論Ⅰ」 18:30~20:30「性格論Ⅱ」
≪フリートーク≫9日(木)10:00~12:00
テーマ「父性」
参加費:1人1.000円(小学生以下無料)
お茶菓子を囲んで、大いに語り合いましょう。
飛び入り歓迎です。お友達も誘って、ぜひ参加ください。
●9日(木)17:00~22:00 
大阪市難波におります。
まだ面談の時間に空きがありますので、周辺の方はご連絡ください。
●6日(月)17:00~22:00
10日(金)8:00~12:00
新宿、赤羽周辺におります。
6日~10日は携帯へご連絡ください。
連絡先はシニフィアン研究所 むかいあい(こちら)です。
インテグレーター養成講座の詳細はこちらを参照ください。